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寝たきりにならないために骨粗鬆症【 こつそしょうしょう 】について知る。

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将来の自分のために「正しい知識」を身につけよう。
寝たきりにならないために骨粗鬆症について知る。

 

日本骨粗鬆学会 理事長

国際医療福祉大学 臨床医学研究センター教授

山王メディカルセンター・女性医療センター長 太田 博明先生

 

 

女性が元気だと社会と家庭が明るくなります。

「いつも元気な女性が急におとなしくなると、どうしたのかなぁと男性は気を遣います。会社でも家庭でも、女性に元気がないと男性は仕事や遊びに支障がでます。だから女性が元気だと社会と家庭に活気がでてくるのです」と話すのは女性の健康長寿をめざす女性医療のパイオニア、太田博明先生。
複数の疾患で専門医、認定医など多数の資格を有しているが、特に婦人科の「女性医学」分野で、日本をリードしている。骨粗鬆症や婦人科腫瘍、卵巣摘出後の合併症や更年期障害などの女性疾患を総合的に診ている。また、日本骨粗鬆症学会理事長も務める。
女性が元気で長生きするためには「正しい知識を身につけることが最も重要」と説く太田先生に話を聞いた。

 

骨粗鬆症は立派な病気です。老化だとあきらめてはいけません。

女性が元気で長生きするために最も注意するべき病気「骨粗鬆症」。
骨粗鬆症とは、骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気だ。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる。がんや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気ではないが、骨粗鬆症による骨折から要介護状態や生命をおびやかされている人は少なくない。
「骨の健康はあらゆる健康のベースです。今や女性は人生90年時代ですが、寿命は延びても必ずしも健康長寿には直結していません」。
例えば、要支援・要介護になる原因のトップは男性では脳血管障害(メタボ)だが、女性では骨折・転倒と関節疾患の運動器の疾患(ロコモ)だ。死亡リスクも、脊椎を骨折した骨粗鬆症患者は、健常者の8倍から9倍も高い。
1940年代、骨粗鬆症は「閉経後骨粗鬆症」といわれ、閉経後何年か経つと背中や腰が曲がることで身長が縮み、骨折しやすくなるといわれていた。正式に骨粗鬆症が病気として定義されたのは1990年代だという。
「いまだに骨粗鬆症は老化現象だから仕方ないと思っている人が多いのはこの歴史の浅さが原因です。
骨粗鬆症は病気で、治療方法があるということを知って欲しいですね」と太田先生は言う。
2005年のデータでは、推定患者数は約1280万人。そのうちの8割が女性で、治療を受けているのはそのうちの30%程度。
「例えば身長が2㎝以上縮んだら、背骨の骨折を疑うべきです。検査をすれば、50%の確率で骨折が見つかるはず。背骨は、骨粗鬆症になると最も骨折しやすい部位です。50歳以上の日本人女性の3人に1人は背骨を骨折します」。
骨粗鬆症になって骨折を起こし、背骨が変形してくれば、諸臓器が圧迫される。これにより呼吸不全、逆流性食道炎、便秘等々、さまざまな病気のリスクが高まる。身体の不調から動けなくなり、肥満度も高まるのだという。

 

骨粗鬆症の原因

以前、骨粗鬆症の原因は女性ホルモンの低下といわれ、女性の病気と思われていたが、今は男性もかかることがわかっている。主な原因は女性ホルモンであるエストロゲンの低下に加えて加齢、生活習慣だという。
「私の研究では骨粗鬆症の6割は遺伝だということがわかりました。それは遺伝的な骨の弱さばかりでなく、4割は食生活が大きく関係しているということです。親の食習慣は子どもにつながります。特に母親から娘へはつながりやすいのです」。

 

10代のダイエットは危険なこと

「18歳くらいまでに骨貯金をしないといけないのです。最初の骨貯金が例えば100万円ではなくて80万円だとすればあっという間に70万円以下に減ってしまいます。今、そういう人たちが増えています。45歳くらいの比較的若い年代にまで骨折が始まる傾向がでています」。
日本人女性の場合、生涯確率で50歳以上の女性がどれくらい骨折するかという調査によると腰椎胸椎背骨だと37%(3人に1人以上)。脚の付け根だと22%(5人に1人以上)。決して他人事ではすまされない。さらに気になることは介護する側もされる側も7割が女性だということ。
「女性は50歳くらいから家族や親の病気がストレスになってくるのですが、それがやがては自分の問題となり50歳から生涯にわたって家族とご自分の介護にかかわってくるのです」。
骨貯金を成長期から始めることが予防につながる。成長期に骨貯金を多く貯めることができれば、骨粗鬆症リスクが軽減されるのだ。
「特に、母親が骨粗鬆症の人は遺伝的に骨がもろくなりやすく、若い頃から骨を強くする生活習慣を心がけて欲しいです。10代から体形を気にしてダイエットすることはとんでもないことで、丈夫な骨は作られません。きちんと食べてしっかり運動するという生活習慣を小学生の頃から続けることが何より大切です」。
骨粗鬆症といえば高齢者だけの問題と思っていたら大間違い。小学生の頃から、骨貯金を増やし、予防に取り組むべきなのだ。
急速な高齢化にともない、骨粗鬆症の患者数も増加している。一生涯を健康に送るために、骨粗鬆症とは何かを知り、骨粗鬆症になってもあきらめず、骨折しないために適切な治療を受け、骨によい食事や運動を心がけよう。
「正しい知識を身につけ、実践することが健康長寿の秘訣です。見た目を気にするより生涯の健康と子どもの将来を気にしましょう」。

 

骨粗鬆症にならないために各年代で注意すること

骨量は、幼児期(1~4歳)と、思春期(女児は10~14歳、男児はそれより2年ほど遅れ、12~16歳)に急速に増加する。
この時期が骨量を増やす「骨貯金」をするチャンスであり、逆にこの時期にしっかり貯金ができないと、骨粗鬆症のリスクが高くなるという。

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太田 博明

 【経 歴】
1970年 慶應義塾大学卒
1980年 米国ラ・ホーヤ癌研究所留学
1995年 慶應義塾大学産婦人科助教授
2000年 東京女子医科大学産婦人科主任教授
2010年 国際医療福祉大学・臨床医学研究センター教授、
2010年 山王メディカルセンター・女性医療センター長を経て
2010年 現在に至る

 

 

 

 

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2015/09/14 骨粗鬆症   lashiku55
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